はじめてでも怖くない! Postman を使って、Web API を触ってみよう!
最近 Postman のチュートリアルを触っていて、改めてその素晴らしさに感動したので、もっと Postman を触ってくれる人が増えてほしいなーと思いまして Web API 初心者向けの Postman 記事を書いてみました。
(以下の画像は衝動的に空輸してしまった私のPostman Tシャツです)
一応この記事は「#7 はじめてのIT勉強会 in 仙台(2019)」でのLT用登壇資料ベースとして書いているので、後々スライドや登壇時の動画も公開するかなーと思っています。
lets-go-study-meeting.connpass.com
- この記事は誰に向けて?
- Postman って何?
- Postman の入手方法
- Web API を使うために把握するべき7つの要素(REST Likeなもの向け)
- Postman を使って O'Reilly BookList の Web APIを叩いてみよう
- それでもわからない? API Network でリクエストのためのテンプレートを手に入れよう
- Postman API Network に無いものはどうすればいいの? OpenAPI(Swagger)を取り込んでみよう
- APIリクエストはできた。でも、その後プログラムからはどうすればいいの?
- おわりに
この記事は誰に向けて?
前述の通りこれははじめて Web APIを触ってみようと言う方向けに書いています。Web APIというものを聞いたことがあるけれど、イマイチ一歩踏み出せない。触り始めるためにどうしたらいいのかわからない。そんな方に Postman というツールをきっかけにして踏み出してもらおうという趣旨です。
あまり Web APIとはなんぞや? みたいなところには突っ込みすぎません。Web APIのドキュメントは見たことあるけれど、ここからどうしたらいいのかわからない、という感じのところで読むと良いと思います。
Postman って何?
Postman は Web APIの開発者「提供する側・活用する側」双方にとってよりよい開発エクスペリエンスを提供するクライアントアプリケーションです。
最近は Web API開発者のためのコラボレーションプラットフォームとも呼ばれていますね。
大まかな機能は大別して、下記の6種類提供されています。
- API Client:公開されているもしくは開発中の各種APIを簡単にテストできる機能です。
- Automated Testing:API開発者向けに各エンドポイントに対する自動テスト機能を提供します。
- Design & Mock:APIを開発するにあたって、API SchemaをDesignするための専用EditorとそれをテスティングするためのMock Server機能を提供します。
- Documentation:PostmanのAPI定義から自動的にAPIドキュメントを生成し、外部ユーザーに提供することができる機能です。
- Monitors:提供されているAPIを定期的にチェックし、APIのアップデートや変更に伴う破損や従来のエクスペリエンスに変化が無いかモニタリングすることができます。
- Workspaces:チームでAPIを共同開発するためのコラボレーション機能を提供します。
なお、今回は Postman のコア機能とも言える「API Client」に焦点を絞って紹介します。
Postman の入手方法
Postman はもともとGoogle Chrome の拡張機能として提供されていましたが、現在は各プラットフォーム(Windows版、macOS版、Linux版)のクライアントアプリとして提供されています。
以下のURLからダウンロードして、インストールします。
https://www.getpostman.com/downloads/
私はもっと挑戦的に生きたいんだ! という方は将来的に正式リリースが予定されている機能を試すことができるCanary版をダウンロードしましょう。
https://www.getpostman.com/downloads/canary
Web API を使うために把握するべき7つの要素(REST Likeなもの向け)
さて、それでは早速 Web APIを試してみたいと思いますが、その前に何を把握すれば Web APIを実行できるのか、事前に把握するべき重要な要素を確認します。
今日 Web APIはRESTという設計思想に(幾分か)則って公開されているものが多数を占めます。各プラットフォーマー・Web API提供者側でちょっとづつニュアンスが異なる部分もあるでしょうが、とりあえず「これさえ抑えておけば怖くない。Web APIを触るための7つの要素」があると思って大丈夫でしょう。
- Base URI
- Resource
- Method
- Query
- Authentication
- Header
- Body
なお、今回は私が公開している O'Reilly Book List APIをベースとして紹介します。
CData API Server(https://t.co/oE8WxzNf5J)を使って1分くらいで作ったO'Reilly Book List APIを公開してみました。https://t.co/7BziYVLMot
— Kazuya Sugimoto (@sugimomoto) October 16, 2019
ID:user(ReadOnly)
Password:3s3E4a4r7Q7d2a1J0i4l
AuthType:Basic
Azure WebApps 格安プランなので、あまりにアクセスがあると落ちちゃうかも。 pic.twitter.com/7Nzn0gjWHk
ちなみにこの Web APIの作り方はこちらで書いています。
Base URI
一番最初に知らなければいけないことは、Web APIを提供しているサービサーのURIエンドポイントを特定することです。
今回のWeb APIでは以下のエンドポイントURIが対象になります。
APIによっては、ここにバージョン名などが含まれる場合があります。
例えば Qiita API の場合は以下のように「v2」というバージョンが入ります。ここまでをベースとなるエンドポイントURIと今回は見なしていいでしょう。
https://qiita.com/api/v2/items
Resource
Web API ではどんなデータを操作するのかを決める必要があります。Twitterであれば、ツイートやいいね、Qiitaであれば記事やチームなど。それを先程のBase URIと合わせて指定するのがWeb API(REST)では一般的です。
今回の Web APIでは以下のOReillyBookListがResourceにあたります。
(実は設計思想的にはあまりよくない・・・。)
Qiita APIでいくと、以下の「items」がResourceです。このitemsに対してなんらかの操作をしますというのが、指定のイメージです。
https://qiita.com/api/v2/items
また、エンドポイントによっては以下のように、リソースをネストして指定することも可能です。以下はitemsのIDから「1」を指定して、そのitemに付与されているLikes(いいね)を指定するイメージです。
https://qiita.com/api/v2/items/1/likes
Method
次にメソッドです。Web API(REST)ではHTTPの原則に基づいて、GETやPOST・PUT・DELETEといったリソースに対する操作方法を指定します。
データを取得するのであればGET、データを追加するのであればPOSTといった指定になります。
サポートしているメソッドはサービスによって変わるので、GETしかサポートしないリソースや、POSTだけを許容するリソースもあるでしょう。それぞれのAPIドキュメントでどんな操作方法を許容しているのか、都度確認する必要があります。
Query
Queryは主にデータを取得する際の各種諸条件を適用するために使われるパラメータセットのことを指します。
URLクエリ文字列、URIパラメータ、Query Stringなど様々な呼び方がされていますが RFC3986では単純にQueryと呼ばれていますので、QueryまたはQuery String(クエリ文字列)が正式な呼称でしょう。
URIとリソースを指定した後に続く文字列として「?」以降に指定するものがQueryです。Web API によって様々なQueryの指定方法がありますが、私が公開しているAPIでは「$select・$filter」といったパラメータをQueryでサポートしています。
$select で取得したい項目 $filter でフィルタリング $orderby で並び替え $top で上位N件取得等ですね。
例えば2000円以下の本のタイトルと値段を取得して、値段安い順に並び替えて、TOP5を表示だと以下のようなQueryで取得することができます。
OReillyBookList?$select=Price,Title&$filter=Price le 2000&$orderby=Price&$top=5
何も指定しないと、不要なデータを取得してしまったりするので、Web APIを触る場合にはその Web APIがどんなQueryをサポートしているのか、慎重に識別しておく必要があります。
Header
対象のAPIに対して、追加情報を渡すために使用されるプロパティセットを指します。主に後述する認証情報やどんなフォーマットでデータの受け渡しを行うのか?を指定することが一般的です。
例えば、昨今の Web APIはJSONフォーマットでやりとりをすることが一般的です。以下のようにContent-Type(Web APIに渡すデータの形式)がjsonフォーマットですよ、Accept(受け取るデータのフォーマット)がjsonですよ、といったような指定をします。
GET decodeapiserverdemo.azurewebsites.net/api.rsc/OReillyBookList Accept: application/json Content-Type: application/json Authorization: Bearer XXXXXXXXXX
この指定するパラメータについても各APIで異なります。今回の Web APIでは以下のようにPOSTリクエストなどを見るとわかりやすいと思います。
Body
Body は Web APIに渡すためのメインとなるデータを指定するための要素です。主にPOSTやPUTでリソースにデータを登録したり、更新したりする時に指定することが一般的です。
例えば今回のOReillyBookList APIでは以下のリクエストでリソースにデータを追加することが可能です。このJSONデータの部分がBodyの指定です。
POST http://decodeapiserverdemo.azurewebsites.net/api.rsc/OReillyBookList/ HTTP/1.1 Content-Type: application/json x-cdata-authtoken: MY_AUTH_TOKEN { "RowId": 1, "ImageUrl": "http://hogehoge/image.jpg", "ISBN": "43413241243", "Title": "New Book" }
Web APIによってはXMLやCSVなど、様々なフォーマットを受け付ける場合があるので、これもAPI仕様書を確認しながら、登録するべきデータをフォーマットと一緒に作成します。
また、Web APIによっては、QueryやHeaderのような使い方をBodyで表現している場合もあるので、果たしてそのパラメータはどこに指定しなければいけないのか? を慎重に見極める必要があります。
Authentication
最後に最も大事な部分である Authentication、Web APIを操作するための認証部分です。Web APIで認証を行うためには様々なアプローチがあるので、ここではあまり多くを語りません。
今回のOReillyBookList APIでは、ヘッダーに「x-cdata-authtoken」という指定でTokenを入力することで、認証が行われます。
POST http://decodeapiserverdemo.azurewebsites.net/api.rsc/OReillyBookList/ HTTP/1.1 Content-Type: application/json x-cdata-authtoken: MY_AUTH_TOKEN { "RowId": 1, "ImageUrl": "http://hogehoge/image.jpg", "ISBN": "43413241243", "Title": "New Book" }
Web API によっては、UserID・PasswordによるBasic認証やOAuthといった認証・認可の仕組みでTokenを取得し、Headerに指定するなどのアプローチがあります。
QiitaではOAuthを利用したフローか、ユーザー管理画面から発行して、以下のようにHeaderに含めるというアプローチになっています。
https://qiita.com/api/v2/docs#%E8%AA%8D%E8%A8%BC%E8%AA%8D%E5%8F%AF
Authorization: Bearer 1234567890abcdef1234567890abcdef1234567890abcdef1234567890abcd
ただ、一番理解しておきたいことは、一般的にこれらの情報を最終的に Header ないし Query でTokenなどの情報を指定する、という点にあると思います。(証明書によるプロセスなどの例外はありますが)
Postman を使って O'Reilly BookList の Web APIを叩いてみよう
Web APIを使うための要素を把握したところで、早速 Postman を使ってみましょう。
今回はシンプルにOReilly Book List APIを使って、データを10件取得してみたいと思います。
ドキュメントは以下の通りです。
http://decodeapiserverdemo.azurewebsites.net/api.rst#OReillyBookList
Postman を立ち上げて、まずは対象となる Web APIのBase URIを指定しましょう。
OReillyBookListを提供しているサービスのBase URIは「http://decodeapiserverdemo.azurewebsites.net/api.rsc/」になります。これを Postman の以下の場所へ入力します。
次にリソースを指定します。先程入力したBase URIの後ろに、OReillyBookListを入力します。
次にMethodです。Postmanはプルダウンで各Methodを選択することができるようになっています。今回のAPIは仕様書を確認するとGET/POST/PUT/DELETEをサポートしていますが、データを取得するので「GET」をそのまま指定しておきます。
次にQueryを入力します。PostmanにおけるQueryの指定はParamsタブで行います。
Paramsタブを選択し、データを10件だけ取得する指定をするので、Keyには「$top」Valueには「10」を指定します。このParamsタブにデータを入力すると、自動的にURIへQueryが補完されます。(逆もまた然りです)
次に認証情報を追加してみましょう。Postmanは一般的な Web APIの認証方式を手軽に扱える機能がデフォルトで備わっています。今回のAPIはBasic認証が有効になっているので、Authorizationタブを選択し、認証のTypeから「Basic Auth」を選択、あとはUsernameとPasswordを入力すればOKという手軽なものになっています。
最後にHeadersを指定します。今回の Web API、実は様々なフォーマット(JSONやCSV、TSVなどをサポート)でデータが取得できるのですが、ここでは明示的にJSONフォーマットでデータを取得したいと思います。
Headersタブを選択し、データ取得のフォーマットを指定するための「Accept」をKeyに指定します。ValueにはJSONを指定するため「application/json」と入力します。
これで準備は完了です。APIを実際にリクエストするにはPostman右上にある「Send」ボタンをクリックします。
Web APIへのリクエストが成功すると、画面下の部分にデータを取得した結果が表示されます。
それでもわからない? API Network でリクエストのためのテンプレートを手に入れよう
と、色々と解説してきましたが、それでもなんだかよくわからない Web API というのは巷にあふれているものです。
そんな時には各種 Web API の APIリクエスト用のテンプレート(Collectionと呼びます)を公開している Postman のAPI Network にアクセスしてみましょう。
ここではTwitterやPaypal、Boxといったグローバルで Web APIを展開しているサービスのテンプレートが自由にダウンロードできます。
例えばTwitterにアクセスして「Run in Postman」をクリックすれば
以下のように、Twitterのリクエストテンプレートが自動的に追加されて、ここからAPIを試していくことができるようになっています。
Postman API Network に無いものはどうすればいいの? OpenAPI(Swagger)を取り込んでみよう
Postman API Network はどちらかと言えばグローバル向けなので、国内のクラウドサービスAPIはほとんどありません。
それでも、そのクラウドサービスの Web APIが「OpenAPI(Swagger)」と呼ばれるAPI定義の情報(Spec)を公開していれば、それを取り込んでリクエストテンプレートにしてしまうことも可能です。
例えば会計ソフトのfreeeなどはSwagger Specを公開しています。
https://developer.freee.co.jp/
OpenAPI(Swagger)Specは以下のReferenceから入手できます。そのままダウンロードすればOKです。
https://developer.freee.co.jp/docs/accounting/reference
こんな感じのJSONデータになっています。
取得したOpenAPI(Swagger)Specは PostmanのImport機能から取り込めます。画面右上の「Import」をクリックしてください。
「Import File」タブから、ダウンロードしたOpenAPI(Swagger)Specを指定します。
すると、以下のように会計 freee のAPI情報が取り込まれました。ここから簡単にAPIリクエストを実行できます。
APIリクエストはできた。でも、その後プログラムからはどうすればいいの?
さて、ここまで Postman で Web APIを触る方法を解説してきましたが、実際のところ最終的にはプログラムから Web APIを操作することがほとんどだと思います。
そうなると、各種プログラミング言語でこの Web APIの実行をどんな風に書けば良いのか? といった問題にぶちあたるのではないかなと思いますが、
Postmanには各種プログラミング言語に対応したCode Snippetsを自動生成してくれる機能が提供されているのです!
Code Snippetsを使うには、対象の Web API リクエストを選択した状態で「Code」の文字をクリックします。
すると以下のようなダイアログが表示されて、右上のプルダウンリストから各種プログラミング言語を選択できるようになります。
これで対象となる言語を選択すれば、そのままリクエストが実行可能なCodeが生成されるというわけです!
便利ですねー。是非このあたりの機能も活用してみてほしいと思います。
おわりに
Postman のことをもっと知りたいという方は、是非Postman Learning Centerにアクセスしてみてください。ここのチュートリアルを一通りやるだけでも、相当 Postman が使いこなせるようになると思います。
あと、Postmanには Web API を手軽に試すことができる Web APIも提供しているので、こういうリクエストってどんな風に記述すればいいのだろう? みたいな時にはとても役立つと思います。