APIのためのKPIはどう考えるべきか? APIを公開し、APIエコノミーに携わる人々が見るべきドキュメント APIs for KPIs の和訳
先々月に行われたAPI x PM #01で「APIを公開したけど、KPI,KGIをどう測るか? 何を指標にするかが難しい」というお話がサイボウズの北川さんからありました。(公開するの忘れてた)
確かに指標としてアクセス数やコール数、接続先のドメイン数など、ある程度考えられるものはありましたが、はっきりとKPIとはこう捉えるべきだ、という指針・ナレッジは私の中にもありませんでした。
せっかくなので、と思い調べていたところ、以下のドキュメントにめちゃくちゃ感動! しまして、これはもっと広まるべきだ! と思い、慣れないながらも和訳を実施してみました。
なお、ただスライドベースで載せても伝わりづらいので、結構私なりの解釈も交えながら意訳している部分もあります。 また、日本でも一般的になっているようなキーワードはあえて和訳していません。
和訳全文
KPIs for APIs
なぜAPIが新しいWebのアドバンテージであり、あなたが間違った測定をしているのでしょうか?
Webの移り変わり
1995年 なぜ私達にWebサイトが必要なのですか? という声が多く聞かれました。
2000年 になると、誰もがWebサイトを持っています。
2005年 今度は、なぜ私達にAPIが必要なのですか? という声が多く聞こえるようになりました。
2010年 私達は誰もがAPIを持つようになりました。
そして私達は今 2015年、誰もがAPIを持つようになった時代に居ます。
あなたは「アクセスカウンター(英名:hit counters)」を覚えていますか?
Webサイトのメトリクスは以下のように進化してきました。
- Hits
- Page Views
- Visitors
- Conversions
それではAPIのメトリクスはどのように進化するのでしょうか?
- Calls
- ?
- ?
- ?
優れたAPIは正しいメジャー(測定方法)を必要としています。
しかし、メジャーとはなんでしょうか?
それは状況に大きく左右されます。
まず考えてほしいのは、あなたはなぜAPIを持っているのか? ということです。
Web APIを持っている理由は様々あるでしょう。
- Drive innovation
- Marketing channel
- BizDev / LeadGen
- User acquisition
- New line of business
- Upsell opportunity
- API as Product
- Increase footprint
- Device and mobile support
- Destribution channel
- Content acquisition
- Drive traffic
- Increase stickiness
- Accelerate internal projects
- Extend product
あなたのAPIは誰のためにありますか?
API consumer continuum APIのユーザーの総体は以下のようなイメージです。
↑ Internal / You ↑ ・ Private / Your partners & customers ↓ ↓ Open / Everyone else
誰が? なぜ? あなたのKPIを動かすべきか? があなたの答えとなります。
次にAPIのKPIを考えるための様々な指標を見てみましょう。
- Traffic
- Total calls
- Top methods
- Call chains
- Quota faults
- Developers
- Total developers
- Active developers
- Top developers
- Trending apps
- Retention
- Service
- Performance
- Availability
- Error rates
- Code defects
- Marketing
- Dev registrations
- Dev portal funnel
- Traffic sources
- Event metrics
- Support
- Support tickets
- Response times
- Business
- Direct revenue
- Indirect revenue
- Market share
- Costs
- Traffic
さらにAPIのKPIを別カットから考えると以下のようなものもあります。
- Customer Satisfaction
- NPS
- ChurnCommunity
- Forum activity
- Social Media(APIとアプリの両方がその上に構築されています)
- Quality
- Defects
- Error prone APIs
- Repair rateAPI Maturity
- Stability
- Maturity metric
- Change rateInnovation
- Number of products
- Number of apps
- Speed to marketChannel
- Call volume: Mobile, Web, Others
- Revenue by channel
これらのように、あなたが測定できるAPIのKPIは多くあります。
しかし、ちょっと待ってください。
このように数多あるAPIのKPIに溺れないでください。
KPI SECRET #1優れたAPIは「どんなメジャー」を優先するのか?
そこであなたは考える必要があります。どの"KPI lens"をあなたは選択するのか?
CFO lens / CMO lens / CEO lens / DevOps lensQA lens / CRO lens / PM lens / PR lens
CFO lens / financial metrics であれば
- Total direct and indirect revenue
- Margin
- ROI
- Marginal cost
- Capex / Openx Inverstment
- CLTV per develop
DevOpst lens / operational metrics であれば
CMO lens / marketing metrics であれば
KPI SECRET #2
ディベロッパーファネルを知る
※ファネル:漏斗 マーケティング用語で見込み顧客の発掘から商談・成約に至るまで段々と少数になっていることを言う。
Webサイトのファネルは以下のようになります。
- Acqusition(取得):ユーザーはどのようにあなた(そのWebサイト)を見つけますか?
- Activation(有効化):ユーザーは最初にいい経験を得られますか?
- Retention(保持):ユーザーはあなたの元へ戻ってきますか?
- Revenue(収入):あなたはどのように利益を得られますか?
- Referral(紹介):そのユーザーは他のユーザーへ勧めたくなりますか?
引用元:Dave McClure's "Startup Metrics for Pirates"
APIのファネルも以下のようになるでしょう。
- Acqusition(取得):開発者はどのようにあなた(そのWebサイト)を見つけますか?
- Activation(有効化):開発者は最初にいい経験を得られますか?
- Retention(保持):開発者はあなたの元へ戻ってきますか?
- Revenue(収入):あなたと開発者はどのように利益を得られますか?
- Referral(紹介):その開発者は他の開発者へ勧めたくなりますか?
KPIのポテンシャルに照らし合わせると以下のようになるでしょう。
- Acqusition(取得):開発者ポータルサイト:Sources, traffic vol, uniques
- Activation(有効化):開発者登録, API Keys の発行
- Retention(保持):アクティブな開発, API Callのボリューム
- Revenue(収入):開発者の利益、APPの利益 , エンドユーザー数
- Referral(紹介):開発者の紹介、開発者とAPPの成長率、NPS
※NPS:Net Promoter Score:ネットプロモータースコア:顧客ロイヤリティを数値化する指標
KPI SECRET #3API エコシステムを測定する
- App Users
- Total app users:アプリの合計ユーザー数
- Revenue per user:ユーザー数あたりの収益
- User growth rate:ユーザー増加率
- User churn:ユーザーチャーンレートApps
- Apps
- Total apps
- Trending apps
- Revenue per app
- Channel: mobile/web
- Developers
- Total developers
- Active developers
- Revenue per developer
- Top developers
- Stuck developers
- Your APIs
- You
- Total revenue
- Partnerships
- Market share
- Innobation
- App Users
KPI SECRET#4
API call volume とDeveloper数の関係性
APIのトラフィック、収益、成功は2割のデベロッパーで占められている
量ではなく質を考える必要がある
API KPIを使用して「誰が、どのように、いつ、どこで」を見つけることができる
KPI SECRET #5 (ちょっとここのスライドは自信が無い)
API KPI を空虚にしないでください。
あなたのステークホルダーは誰か? あなたのスポンサーは誰か?
それらを意識し、あなたの3-5個のKPIでエグゼクティブの協力を得る必要があります。
KPI SECRET #6
Guardianによると
70%は内部APIのコールで占められている
30%が外部からの使用70%が内部アプリケーションからの使用
- Evernoteでは「99%」が内部コールで占められている
- Netflix: においては99.9%までもが内部コールで占められている
なぜNetflixは99.9%までもが内部コールで占められているのか?
誰が?:Neflix デバイスとUIチーム
KPI WARNING #1
無駄なAPIメトリクスに注意してください
APIビリオネアクラブ
Twitter:130億 API コール / 日 (2011年5月) Google:50億 API コール / 日 (2010年4月) facebook:50億 API コール / 日 (2011年10月) ACC Weather:11億 API コール / 日 (2011年4月) KLOUT:10億 API コール / 日 (2012年5月) ebay:10億 API コール / 日 (2012年Q1) Sabre:10億 API コール / 日 (2012年1月)
-
仮に、このすべてのAPIコールの価値が平等であるとした場合 月に300億のAPI呼び出しの代わりに、50億のサービスを提供しますか?
KPI WARNING #2API KPI トラップに注意してください
3つの一般的なAPI KPI トラップ
2.メトリクスプロセスはありません。 (メトリクスの計画とフィードバックループがあるだけです)
2.不適切な指標を使用しています。 (追跡するものを変更することを恐れてはいけません。)
また、あなたが逃したかもしれない重要なメトリックがあります。
それが「TTFHW」
TTFHWって何?
それは「Time to first "Hello World"」
あなたのAPIを開発者が使った場合「TTFHW」はどのくらい?
つまり「Developer experience(DX)」を意識すること。
あなたのAPIはDXを作ることも壊すこともできる。
それはあまりにも主観的な測定だと思いますか?
もちろん、定性的な指標は忘れないでください。
例えば
DXを測るための指標はいくつもあります。
実際のAPI KPI
EvernoteのKPI:Conversions
”Evernoteで別のアプリを使用する人が、プレミアム(有料)サービスに移行する可能性は「50%」高い傾向が見られています"
EvernoteのKPI:Engagement
"EvernoteとAPIを統合したアプリケーションには、はるかに多くの用途があります。 例えば「Pocket」は通常、保存したものの15%を読みますが、Evernoteのユーザーが「Pocket」から保存したものを80%を読み込んでいます。参考:PocketとEvernoteを連携させてスマートな「あとで読む」システムを構築するアイデア
参考:「Pocket:https://www.lifehacker.jp/2014/02/140206pocket_evernote.html」
JustGivingのKPI:Revenue
APIは現在、慈善団体の年間収益の20?25%を占めています。
AviaryのKPI:Apps
2013年3月時点で3,500 Apps
nprのKPI:Impressions
彼らのゴール「私達のコンテンツにもっと目を向ける」
さらにKPIとして
API コール数 レスポンスボリューム(例えばストーリーの数) Impressions(イメージビーコン経由) ロイヤリティ
npr / national public radiohttps://www.npr.org/
ABSOLUT VODKAのKPI:Recipe delivery
”我々はウォッカを販売している。しかし、人々は飲み物を買います。”
ゴール:「Absolutに遭遇した場所に関係なく、一貫して人々に届けられる最高品質の飲み物を確実にする」
APIを使用すると、顧客がどこにいるかを知ることができます。
それでは最初の質問に戻りましょう。APIのメトリクスはどのように進化するのでしょうか?
- Calls
- ?
- ?
- ?
まとめ
誰が&KPIを推進するのかを把握している KPIレンズとプロセスを持っている 優先順位付けと繰り返しができる
おわりに
個人的に「TTFHW」「Time to first "Hello World"」が衝撃的な資料でした。